20年間ひきこもりの60代男性「自宅にだれかを入れるのは怖い」
「人が怖いので、下を見ながら話していただけませんか? あと自宅にだれかを入れるのは怖いので、診療に来ていただける車の中や、うちの庭で診療を受けられませんか」
20年間ひきこもり生活を送りながら、自宅近くのメンタルクリニックに通院していた60代の男性患者さん。症状の改善があまりみられないからと、先日、在宅医療を始めてみたいと当院に問い合わせをいただきました。
問診結果は「社会不安症」。この疾患は比較的少人数の中においても、人から見られたり恥ずかしい思いをすることに対して極度に恐怖を感じ、人前で自分を出すことに過度の不安を覚えます。そのため社会的な交流を避け、社交場面も回避する傾向になりがちです。
メンタル状況がデリケートな患者さんの場合は、在宅医療を始めるにあたって、それまで通院していたクリニックの医師、担当のケースワーカーさんがいる場合はその方と綿密に連携し、一般的な患者さんの事前の準備とはまた違った点に注意を払います。
冒頭のやりとりは、何回か対面を重ねてようやくポツポツと会話ができるようになった時のものだったのでした。