その不調は更年期障害かもしれません(3)度重なる物忘れでミスが増え休職を余儀なくされた
なんとか仕事は続けていたが、感情の起伏の激しさや度重なる物忘れで自己嫌悪に陥り、休職。産業医の勧めで更年期外来を受診したところ、問診と女性ホルモンの値から更年期障害と診断された。
野崎ウイメンズクリニック院長の野崎雅裕氏はこう話す。
「女性ホルモンであるエストロゲンは、活力を増進させてイキイキさせる働きがあります。卵巣機能の低下でエストロゲンが減少すると、ホルモンバランスが崩れて気分の落ち込みや無気力を引き起こします。また、エストロゲンの減少は、学習や記憶に関わるセロトニンの分泌量も減少させやすい。脳の処理速度が遅れて物忘れが生じるのではないかと指摘されています」
更年期の症状は200種類以上に上り、“症状のデパート”といわれている。人によって症状の種類や重症度が異なり、野崎氏によれば、「こうでなければいけない」と白黒はっきりさせたい生真面目な性格の人ほど自分を追い込みやすく症状が強く出る傾向が高いという。
「心療内科を受診して精神症状を緩和させる薬を処方されたとしても、原因となる女性ホルモンの不足を解消しない限り症状を改善させるのは難しい。その状態が長く続くほど、本人も『これほど治療をしてもなぜ良くならないのか』と、精神的に追い詰められてしまう。40歳を過ぎて急に無気力になった、考えがまとまらなくなったのであれば、更年期障害を疑う必要があります」