その不調は更年期障害かもしれません(1)エストロゲンの減少で起こった「指の変形」は元に戻らない
2022年に厚労省が行った意識調査によると、「更年期障害の可能性がある」と考える女性の割合は、40代で約3割、50代では約4割にのぼると分かっている。イライラや気分の落ち込み、ほてりの症状に悩まされるだけでなく、多岐にわたる。中には意外な症状もある。「野崎ウイメンズクリニック」院長の野崎雅裕氏に聞いた。
「更年期」とは、閉経の前後5年の期間を指し、閉経年齢の平均から、一般的に45~55歳とされている。40歳を境に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少すると、自律神経が乱れて心身にあらゆる不調を引き起こす。
更年期と聞くと、自律神経の不調に伴ううつ症状のほか、ほてりや発汗を思い浮かべるだろう。しかし、野崎氏によると、それらの症状はほんの一部に過ぎないという。
「更年期になると、血圧の上昇や骨密度の低下を来しやすい特徴があります。また、エストロゲンには、皮膚の真皮層に存在し、コラーゲンやヒアルロン酸を産生する線維芽細胞を増殖させる働きがあります。エストロゲンの減少で表皮や粘膜のうるおいが失われると、肌のツッパリ感や、粘膜であればドライアイやドライマウスを招きます。とりわけ膣内の乾燥は膣粘膜が薄くなって炎症を引き起こしたり、性交渉の際に強い痛みが生じるケースも少なくありません」