1932年福岡県生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。2002年には菊池寛賞、09年NHK放送文化賞、10年毎日出版文化賞特別賞を受賞。本紙連載「流されゆく日々」は16年9月5日に連載10000回を迎え、ギネス記録を更新中。小説以外にも幅広い批評活動を続ける。代表作に「風に吹かれて」「戒厳令の夜」「風の王国」「大河の一滴」「TARIKI」「親鸞」(三部作)など。最新作に「新 青春の門 第九部 漂流篇」などがある。
【特別再録】 夜明けの高橋和巳 <人物、76年>
1976年5月13日付
歯が痛むので折角の五月も灰色である。歯痛ぐらいで世界観が変わるのだから、人間なんていい加減なものだ。鈍痛がくり返しおそってきて、そのたんびに終末観にとらわれる。
電話で、高橋和巳を偲ぶ会に出て来て何か講演をせよとの依頼がある。都合がつかぬため辞退。以前、『高橋和巳作品集』の…
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