東京マラソンでは3分の差…日本最速の鈴木健吾が王者キプチョゲに迫る方法とは

公開日: 更新日:

 その差は埋まるのか。

 6日の東京マラソンを2時間2分40秒で制したエリウド・キプチョゲは37歳。この年齢にして、25キロすぎからはペースメーカーさえも置き去りにした世界記録保持者の走りには驚かされたが、身長が167センチしかないこともビックリ。日本選手トップの4位(2時間5分28秒)でゴールした鈴木健吾(26)は164センチ。たった3センチ違いだった。

 マラソンと「身長」に関する興味深いデータが日本陸連公式サイトにある。キプチョゲが世界記録(2時間1分39秒)を出した2018年ベルリンの平均ストライド(歩幅)は185センチ。身長比110.8%だ。当時からカーボン搭載シューズは進化しており、ストライドはもっと大きくなっているかもしれない。同データによれば、身長170センチの大迫傑(30)が2時間5分50秒で走った18年シカゴの平均ストライドは181.7センチ。身長比106.9%。100%超の日本選手はまれである。

中臀筋がカギ

 鈴木は2時間4分56秒の日本記録を持つ。ストライドの実測記録は出ていないものの、東京マラソンの走りからはそれほど大きくは見えなかった。スピードはストライド×ピッチ数。キプチョゲに少しでも近づくには、まずは歩幅を伸ばすことが重要ではないか。その方法をフィジカルトレーナーの平山昌弘氏に聞いた。

「尻には、大臀筋、中臀筋、小臀筋がある。中臀筋は股関節の横、尻のやや外側にある筋肉で、走るときの安定性を高めている。中臀筋が弱いと、着地して後方に蹴る際、体が横にブレてしまう。車はタイヤがまっすぐ回転しなければ直進性が落ちる。マラソンも同じです。腰がブレずに、着地した足をしっかり後方に蹴ることでストライドは伸びます」

 さらに平山氏が言う。

「大迫のトレーニング動画を見たことがある。中臀筋をかなり鍛えていた。マラソンは、片脚で左右交互にジャンプと着地を繰り返す。腰がブレたら着地も安定せず、蹴る力量が弱くなり、推進力も減少する。さらに、中臀筋がしっかりしていれば踏み込んだときに前傾になるので後方に蹴りやすく、ストライドも大きくなる。流行している厚底シューズはつま先から着地するフォアフット走法が合っているといわれるが、この走りは、動的安定性がなければ続けられず、シューズの最大効果を得ることもできません」

 中臀筋の鍛え方はYouTubeで見られる。マラソンだけでなく、ヒップアップにも効果があるぞ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース