ヤクルト1位・吉村貢司郎の“遅咲き”支えた父親の独学野球メソッド「その子のそのときに合ったやり方」
■大きなケガなく才能を開花
それは吉村家にとって決して遅咲きではなかった。会社員の父・裕二さん(62)が独学で学んだ野球論があったからだ。
「主人は野球未経験でしたが、研究熱心なところがあり、貢司郎が小・中学生の頃までは野球の知識や教え方についてよく本やインターネットで調べていました。まわりには貢司郎よりうまい子もいたけど、今だけ集中して厳しくするのではなく、大学とか20歳前後になって花が咲くようなやり方で進めていった方がいいんじゃないかという考えがあったようです。
ケガさせない打ち方、投げ方、長く野球がやれる指導法を自分なりに研究していました。貢司郎は1月生まれで、同じ学年でも4月生まれや5月生まれの子と比べると体格差が出てくる。私は『もっと走り込みさせた方がいいんじゃないか、もっと筋力つけた方がいいんじゃないか』と焦ったこともありました。でも、父親は『その子のそのときに合ったやり方がある』と言っていたのを覚えています」(身知子さん)
父親のメソッドに基づき、国学院大学入学まで大きなケガはなし。細身だった体も、徐々に大きくなっていった。