今日の新刊
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「森は知っている」吉田修一著
沖縄・南蘭島で知子ばあさんと暮らす高校生の鷹野一彦。彼は幼い頃、母親に監禁されて、餓死寸前で救い出されたという過去をもつ。鷹野を引き取ったAN通信は彼の過去を消し、ひそかに産業スパイとして教育してい…
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「いいがかり」/「原発『吉田調書』記事取り消し事件と朝日新聞の迷走」編集委員会編
大スクープのはずだった原発〈吉田調書〉記事を朝日新聞が取り消し、社長が謝罪した。花田達朗氏は、これは「『吉田調書』誤報問題」ではなく「『吉田調書』記事取り消し事件」だと糾弾する。慰安婦の記事と池上彰…
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「ラ・ミッション」佐藤賢一著
幕末期に徳川幕府に軍事顧問として雇われたフランス軍人ブリュネ。新選組の土方歳三が会津藩にも頼らずに「てめえが抱える了見に、てめえの命をかけて殉じる。その潔さが士道ってもんだ」と言うのを聞いて感銘を受…
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「反国家のちから」鎌田慧著
2014年5月、福井地裁が〈大飯原発差し止め判決〉を出した。判決のとき、被告席にも傍聴席にも関西電力関係者の姿はなかった。著者はその事実に、政府がバックについているという傲慢さを見た。これは福島の事…
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「日本郵政」井手秀樹著
日本郵政グループは従業員約22万人、経常利益約1兆1000億円の巨大企業である。事業内容を見ると、ゆうパックは宅配便と熾烈な争いを繰り広げているが、「信書」を配達できる〈一般信書便事業〉に参入する事…
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「星砂物語」ロジャー・パルバース著
16歳の少女、梅野洋海はロサンゼルスで生まれたが、昭和16年に父に連れられて帰国。アメリカに残った日系2世の母と兄は日系人収容所に入れられた。洋海は八重山諸島の鳩間島に移り、空き家に入り込む。ある日…
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「日本発掘!」文化庁編
中世の大名の館や城は一乗谷の朝倉館のように堀や土塁で守られていた。ところが、大分市にある大友氏の遺跡には、そういう防御施設が見られない。キリスト教文化を受容し、キリシタン大名となった大友宗麟は、軍事…
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「完治―HIVに勝利した二人のベルリン患者の物語」ナターリア・ホルト著
後に「ベルリン患者」と呼ばれるティモシー・ブラウンは、1995年にHIV陽性と診断される。薬によるコントロールを続けていた2006年、白血病であることがわかり、骨髄移植を受けることを決意する。 …
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「不動産の法則」櫻井幸雄著
住宅ローン金利が史上最低水準となり、マイホームの新規購入や買い替え、売却を考えている読者も多いだろう。 著者は30年以上にわたりマンションや一戸建てを専門に取材している住宅ジャーナリスト。副…
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「そこまでやるか! 裏社会ビジネス」丸山佑介著
裏社会ビジネスはあらゆるチャンスに忍び込んでくる。一部の政治家がひどく執着しているカジノは、マネーロンダリングの温床である。マカオでは、中国の権力者が汚職で手に入れた金を、国外持ち出し制限のない香港…
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「日本航空一期生」 中丸美繪著
戦争に敗れた日本は、連合国側から一切の航空関係の活動を禁止されたが、昭和26(1951)年、ようやく民間航空会社の設立が認められる。その日本航空創業に関わった人々の姿を追ったノンフィクション。 …
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「にぎやかな落葉たち」辻真先著
高齢者や障害者が住むグループホーム・若葉荘。住み込みスタッフの17歳の浜坂綾乃は孤児だった。質屋を営んでいた父は、土地の名家・五十嵐家から預かっていた家宝を携えて五十嵐家に向かう途中、強盗に遭って殺…
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「たんときれいに召し上がれ」津原泰水編
1968年ごろによく通ったサイゴン(ホーチミン)のバーガー・ショップでは、肉の焼き加減を聞かれるのが当たり前で、店を埋め尽くすアメリカ兵の一人から、あまり火を入れない生焼けのバーガーと玉ねぎを交互に…
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「鈍行最終 気まぐれ列車」種村直樹著
昨年亡くなった「レイルウェイ・ライター」の往年の作品を編んだ鉄道紀行エッセー集。 著者の旅は、旅程に縛られず、ぶらりと乗り降りしたり、思い立って行き先を変えてみたりの気ままなスタイルが信条。…
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「男役」中山可穂著
男役トップに上り詰めた扇乙矢は、お披露目公演2日目の舞台中に事故死する。以降、奈落にすみつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれ、ファントムさんに見込まれた者は、トップになれると噂されていた。…