「誘神(いざないがみ)」川崎草志著
〈青い所〉で斉原柊一は老婦人に「あなたは、お亡くなりになっています」と告げた。老婦人の姿は消えた。柊一は岩尾野町でツゲサンと呼ばれる家に生まれた。生者の世界と死後の世界の境でさまよう者に死を宣告する仕事をしていた父が死んだ後、その役目を引き継いだのだ。そのころ、京都に住んでいた藤原沙織の一家は、東南アジアで新型インフルエンザのため多くの死者が出ているとのニュースを聞いて、亡き母の実家のある岩尾野町に避難してきた。ところが、新型インフルエンザ患者が出たという疑いが出て、岩尾野町は軍に封鎖される。
土俗的な死の儀式が残る町に感染症がパニックを巻き起こすサスペンス。
(KADOKAWA 1700円+税)