「東京都セレブ区福祉部」山谷哲夫著
渋谷区は特別区民税が約411億円にも上る裕福な区だが、生活保護など福祉のお世話になる住民も存在する。福祉部の職員は壊疽(えそ)で足が腐った老婆を抱えて病院を探したり、ドロドロになった行き倒れの死体のそばにある財布の中身を確認するという過酷な仕事に従事している。
その一方で、税金にたかる白アリ公務員もいる。元区長が職員組合の支援で当選したことから、見返りとして組合員や区議のコネのある人間を〈単労〉として大量採用した。清掃、用務、給食など単純労務の職員なのに、年収は800万~1000万円にもなる。
15年間、区民オンブズマンを務めた著者が見た、渋谷区政の実態をえぐるリポート。(現代書館 1700円+税)