「消えた伝説のサル ベンツ」緑慎也著
2013年暮れ、大分の高崎山で、失踪したサル、ベンツの捜索が4回も行われた。異例なことだが、人間だったら100歳以上の高齢であるベンツは伝説のボスザルだったからだ。
彼は史上最年少の推定9歳で高崎山に生息するB群のボスになった。だが、生まれたときから同じ群れにいるオスは、メスが近親交配を本能的に避けるため、モテない。別のC群のメスに惚れたことでB群のボスの座を追われ、C群の序列の最下位に身を落とした。ところが、ベンツはA群との戦いで最前線に立ち、やがてC群のボスになる。
高崎山自然動物園の元職員の調査に基づき、ニホンザルの生態とドラマを描くノンフィクション。(ポプラ社 1500円+税)