「破落戸(ごろつき)」諸田玲子著
北町奉行所の定町廻り同心、篠崎弥左衛門の懐刀の瓢六はある日、阿部伊勢守の兄、不争斎に仕える奈緒に呼び出された。西洋医術の心得のある医者、江庵の家の内情を探ってほしいと言う。この家を訪れた書肆、武士、薬種問屋などがことごとく捕らえられている。民を苦しめる南町奉行の鳥居甲斐守に内通している者がいるのではないか。瓢六が江庵の家に入り込むと、昔馴染みの平吉の姿が見えた。平吉は闇の顔役の子分だった。ひょっとすると、盗みでも企んでいるのでは……。(「織姫」)
水野越前守一派と戦う瓢六シリーズ第5作の短編集。(文藝春秋 1600円+税)