紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実
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<21>800万円のロングコートを着てムービーカメラの前で悪代官のように振る舞う
「あんた、よう和歌山のことを知っているなあ」 野崎幸助さんと愛人を追ってやってきた那智勝浦の居酒屋で、風采の上がらないじいさんが話しかけてきた。 「素材はいいのですから、ドンドン宣伝する…
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<20>ドン・ファンと大阪の愛人の逢瀬にテレビが密着取材を
「野崎幸助さんの密着取材ができないかってテレビから相談が来ているけど、どうします?」 講談社の広報担当から連絡が来るようになった。最初に申し込んできたのはフジテレビの番組を制作している制作会社…
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<19>自伝をドン・ファン自ら2000部購入し仕事の関係先に押し売り
2016年12月に出版された野崎幸助さんの自伝第1弾「紀州のドン・ファン」の売れ行きは好調だった。棚に並べていない本屋さんも多かったが、口コミでの評判が良かったようで、毎月のように重版された。アマゾ…
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<18>“30億円を貢いだ男”の本は売れない? 逆転で出版が決まった第1弾
「これは出版できないって会議で言われました」 野崎幸助さんの本「紀州のドン・ファン」は出版見送りが決まった。 「なぜ?」 「売れないだろうということみたいですね。たいして読んでもい…
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<17>東京地裁立川支部の廊下で若い女性弁護士に突然土下座した
野崎幸助さんは大金持ちに分類される人だったのだろうが、お金が絡むと見境のない行動を取ることもあった。私は自叙伝を作るにあたって彼の裁判を何度か傍聴した。地元の和歌山地裁田辺支部はもちろん、霞が関の東…
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<16>自叙伝を出版するのにドン・ファンは金を出し渋り約束を反故に…
「社長と連絡が取れないんですけれど、体の具合でも悪いのですか?」 野崎幸助さんに頼まれていた自叙伝の前半部分を書き上げた私は、彼の会社「アプリコ」に何度か電話をかけた。 「そんなことはな…
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<15>グラビア特集で一目惚れした麗子さんとは30年来の付き合いに
自叙伝を書くにあたって私は、野崎幸助さんのことを知っている何人かを紹介してもらうことにした。その中のひとりが、バブルの時代に中国の浙江大学から東京大学大学院に留学して、心理学を勉強していた麗子さんだ…
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<14>2人目の妻の「ベンツと共に去りぬ」事件…納車当日にそのまま走り去る
「あんたべっぴんさんやなあ。どちらのお店ですか?」 出勤するべっぴんのホステスさんに道端で声をかけるのが、野崎幸助さんの楽しみだった。無視する相手もいたが、店に来てくれる可能性もあるので、頭の…
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<13>女性とHをするためだけに金持ちになったと公言「ホステスさんは私の財布が目当て」
約束は午後1時だったが、午前11時に連絡が来て「今すぐ来ないなら会わない」と言う。野崎幸助さんの朝令暮改は日常的なことで、言ったことをすぐ変えることも珍しくない“困ったちゃん”であった。 大…
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<12>兵庫の“号泣県議”から始まったドン・ファン取材、約束の時間を突然変更して…
2016年3月、「週刊現代」から野崎幸助さんの取材にゴーサインが出た。早速ドン・ファンの会社に何度か電話を入れたが、いつも「社長はいません」という返事だけで要領を得ない。きっと忙しくていろいろなとこ…
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<11>ドン・ファンのラクダのシャツとももひき姿はワイドショーを喜ばせた
「1億円は紙くずみたいなもの」 野崎幸助さんはワイドショーのカメラの前で言い放った。これは名言である。世間の反発を食らって炎上するのは間違いない、という意味でだ。 しかも、この時のドン…
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<10>自称モデル・ジェシカによる窃盗事件にはワイドショーが群がった
「ドン・ファン」シリーズの第1弾となった野崎幸助さんの自叙伝「美女4000人に30億円を貢いだ男」は2016年12月に講談社の+α文庫から出版された。その経緯は複雑だった。 全ての発端は16年…
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<9>「紀州のドン・ファン」名付け親にメールで出した3択クイズ
野崎幸助さんが亡くなった翌朝、私は和歌山に向かった。大阪までの新幹線でゆっくり眠る算段をしていたが、彼との思い出が次から次へと浮かんできて、眠ることなど全くできなかった。 新大阪駅で紀勢本線…
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<8>朝のルーティンワークは自動販売機の小銭回収…ドン・ファンの生きがいだった
野崎幸助さんの会社「アプリコ」のオフィスには社長室があり、奥に腰ぐらいの高さの金庫が置かれていた。鍵はドン・ファンと経理担当の佐山さんが所有していた。 社長室といっても3畳ほどのスペースが仕…
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<7>「貸金ファイル」には数万人分の人生の縮図が記録されていた
野崎幸助さんの会社「アプリコ」のオフィスは、自宅からほど近い4階建ての自社ビル「ピロポ ビル」の1階にあった。住宅地図にも、その名前で載っている。ピロポとはスペイン語で男性が女性に声を掛ける行為とさ…
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<6>ドン・ファンの会社「アプリコ」の従業員同士の関係は非常に希薄だった
野崎幸助さんの会社「アプリコ」は、朝5時から18時まで、年中無休で営業していた。何百軒もある市内のスナックからの注文も受け付けていたので、電話はひっきりなしにかかってくる。6人の従業員は多忙を極めた…
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<5>市内の一等地にあるドン・ファンの会社「アプリコ」
野崎幸助さんが殺害された2018年5月24日の深夜、私は早貴被告を電話で励ましていた。その時ふと、「結婚3カ月で旦那が死亡とは。まるで小説のようだな」と思った。この時はまだ事態をうまくのみ込めず、こ…
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<4>夜中に知ったドン・ファンの死 早貴被告は消え入りそうな声で…
ドン・ファン(野崎幸助さん)が殺害された当日、私は都内の居酒屋で、講談社の親友Kクンと会っていた。そこで須藤早貴被告が出演していたAVについて話をすると、すぐにKクンはスマホで検索、お目当ての作品を…
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<3>流れては散ったXデー情報…早貴被告の「ドバイ移住計画」が逮捕を後押し?
4月28日に須藤早貴被告が逮捕される直前、「どうやら27日がXデーらしい」という情報が入った。28日が発売日だった「週刊新潮」と「週刊文春」も、Xデーを察知して記事を書いたと聞いた。 そこで…
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<2>「早貴容疑者逮捕」の報に言いようのない興奮状態に包まれた
今年の4月28日午前5時半――。NHKラジオをつけてパソコンに原稿を打ち込んでいた私の耳にアナウンサーの声が飛び込んできた。 「ただいま入った情報です。紀州のドン・ファンと呼ばれた和歌山県田辺…