<18>“30億円を貢いだ男”の本は売れない? 逆転で出版が決まった第1弾
「これは出版できないって会議で言われました」
野崎幸助さんの本「紀州のドン・ファン」は出版見送りが決まった。
「なぜ?」
「売れないだろうということみたいですね。たいして読んでもいないくせに。売れないことはないと思うんですが」
担当編集者だったNクンが済まなそうな表情を浮かべた。Nクンは週刊現代でドン・ファン記事を担当し「美女4000人に30億円を貢いだ男」というキャッチコピーを作った。その後FRIDAY編集部に異動して私とタッグを組む。ドン・ファンネタは彼が担当することになったが、残念ながら生前のドン・ファンと会ったことがない。それが痛恨の失敗であると、今でも彼自身が悔やんでいる。
ちなみにNクンは2019年流行語大賞に選ばれた吉本興業芸人の「闇営業」をスクープしている有能編集者だ。
「本当ですか。そんなバカな話はないですよ。ボクは絶対に売れると確信していますから、ちょっと待って下さい」
当時ネット媒体の現代ビジネスの編集長だったSクンがボクの応援をしてくれることになった。彼はドン・ファンの記事を何本も手掛けていて読者の反響がいいことを知っていた。それから約2週間後に出版OKが出たのだからSクンには感謝するしかない。