<11>ドン・ファンのラクダのシャツとももひき姿はワイドショーを喜ばせた
「1億円は紙くずみたいなもの」
野崎幸助さんはワイドショーのカメラの前で言い放った。これは名言である。世間の反発を食らって炎上するのは間違いない、という意味でだ。
しかも、この時のドン・ファンはラクダのシャツとももひき姿。人前に出る時はいつもスーツにネクタイのパリッとした姿のドン・ファンがなぜ、テレビカメラの前でこのような醜態をさらしてしまったのだろうか。私はその事情を後ほど彼から聴いたことがある。
「私ね、あの時は寝ていたんですよ。だから、寝ぼけていたわけでね」
リポーターたちは東京から空路で南紀白浜空港に降り立った。羽田―白浜便は1日3往復しかなく、空港から20分弱のドン・ファンの会社「アプリコ」に彼らが現れたのはワイドショーの放送も終わった昼すぎだった。もうその時間になると、ドン・ファンは自宅に戻ってベッドで就寝している。当時のドン・ファンは一人住まいで、何度もインターホンを押されれば自らが対応せざるを得ない。それでラクダのシャツ姿で寝室から玄関に下りていったというワケだ。