著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<2>「早貴容疑者逮捕」の報に言いようのない興奮状態に包まれた

公開日: 更新日:

 今年の4月28日午前5時半――。NHKラジオをつけてパソコンに原稿を打ち込んでいた私の耳にアナウンサーの声が飛び込んできた。

「ただいま入った情報です。紀州のドン・ファンと呼ばれた和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さんの殺人容疑で和歌山県警は都内のマンションで元妻の須藤早貴容疑者を逮捕しました。もう一度お伝えします……」

 予想していたとはいえ、私にとっては誰よりも強くこの時を待ち望んでいたのだ。事件から3年近く経っていたが、何度もニセの逮捕情報に一喜一憂してきた。それが本当になったのだ。私は言いようのない興奮状態に包まれていた。

■Xデーに向けて動き出したマスコミ

「どうもXデーに向けてNHKが動いているようです。捜査員が東京だけではなく札幌にも入ったようですよ。何か聞いていませんか?」

 私の複数いる情報源から連絡が来たのは4月24日だった。

「ふーん。いつものガセネタじゃないですか?」

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