<12>兵庫の“号泣県議”から始まったドン・ファン取材、約束の時間を突然変更して…
2016年3月、「週刊現代」から野崎幸助さんの取材にゴーサインが出た。早速ドン・ファンの会社に何度か電話を入れたが、いつも「社長はいません」という返事だけで要領を得ない。きっと忙しくていろいろなところで商談をしているのだと勝手に思っていた。
この時の私は兵庫県議会議員で架空出張を繰り返して問題になった彼を追っていた。例の号泣、大絶叫でワイドショーのスターになった議員である。大阪市内に住んでいる彼の独占インタビューを取るために、自宅の市営アパート前で張り込む毎日を送っていた。ここに彼は両親と住んでいるハズだったが、どこかに別の住まいがあるようで、母親が彼に会いにいくところも尾行したりしたが、結果は芳しいものではなかった。
取材先が同じ関西なら交通費もあまりかからない。それでプランが通ったのであろう。
「社長は帰りましたから、もう会社に来ることはありません」
何日か電話をかけてやっと、ドン・ファンの一日の流れを知ることになった。対応してくれたのがアプリコで唯一の女性従業員で経理担当の佐山さんだったことは、後で知った。