<19>自伝をドン・ファン自ら2000部購入し仕事の関係先に押し売り
2016年12月に出版された野崎幸助さんの自伝第1弾「紀州のドン・ファン」の売れ行きは好調だった。棚に並べていない本屋さんも多かったが、口コミでの評判が良かったようで、毎月のように重版された。アマゾンでのユーザーの評価もあまり悪くなかったので、書いた身としてはひと安心だった。
「2000部を買いたいんやけど」
17年の年が明けて、ドン・ファンから連絡があった。
「そんなことは気にしないで下さい」
私は彼が部数のことを気にかけているのだと思ったので、買わなくてもいいですよ、とやんわりと断ったつもりだった。しかし、ドン・ファンの意志は固くて、その後に販売部から社長の元に送られたのである。