松尾潔のメロウな木曜日
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国葬のようなものから1年、この国の大切なことはムードで決まっていく
国葬から1年が経つ。 当時「国葬なんて反対」と言うと「これは『国葬儀』であって『国葬』ではない」と糾弾する人が絶えなかった。何度か執拗に絡まれたのに懲りて、あるときからMy統一表記を「国葬の…
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佐野元春は「言葉と音楽の理想的な関係」を探求する先頭に立ち続けている
昨年、初めて国産車を買った。初めての新車でもある。五木寛之さんの影響で大学時代に中古のスウェーデン車サーブを格安で買って以来、もっぱら欧州の中古車ばかり乗り継いできた。車にとくべつ詳しいわけではない…
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ジュリー社長以下、ジャニーズ主要役員は記者会見に総登場して謝罪したらどうか
8月29日、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けてジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が記者会見を開き、同日発表した調査報告書(全67ページ! 事務所ホームページで閲…
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三浦英之著「太陽の子」、この書き手は愚直なまでに「ペンは剣よりも強し」を信じている
明日(8月25日)の午後、第22回新潮ドキュメント賞が発表される。候補5作品のなかでも三浦英之著『太陽の子』(集英社)に注目したい。じつは昨年10月の出版と同時に買ってすぐに読了、つよい衝撃と浅から…
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2人目の加害者になっていないか? DJ SODAさんが訴えたセクハラ被害それぞれの反応
今週月曜(8月14日)の午前中のことだ。韓国の人気DJでインフルエンサーとしても活躍中のDJ SODAさんが、自身のSNSに生々しい写真を添えて、英語・韓国語・日本語でショッキングな報告をした。前日…
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「妖怪の孫」の先行試写会で偶然並んで座った3人の1968年生まれ
本連載で3月に取りあげた『妖怪の孫』。邦画としては画期的な現役首相(=菅義偉前首相)の動向を追うドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の内山雄人監督の後継作として、公開前から話題になっていたこの作…
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いい絵だから額装するのではない。額装してはじまる家族の物語がある
この夏はあるアルバムレコーディングに多くの日数を割いている。家族で過ごす時間はなかなか確保できず、せっかくの夏休みなのに、子どもたちには物足りぬ思いをさせているようだ。 久しぶりのオフの先週…
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シモーヌ・ヴェイユの生涯描く映画に奮い立つ 世界の地獄化を止める唯一の方法は「声を上げること」
いくたびか新作映画について語ってきたが、思うところあって紹介するのは日本映画に限ってきた。だが今回はその限定を解除したい。この洋画をひとりでも多くの方にお奨めしたい気持ちに抗えないからだ。昨年フラン…
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時代のうねりに目をつむる。それは戦うべき敵(エネミー)を見過ごすことである
15年間在籍した音楽事務所スマイルカンパニーとのマネージメント契約終了を告知するツイートから3週間近く、「スマイルカンパニー契約解除の全真相」なる扇情的な見出しがつけられた「メロウな木曜日」特別版か…
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「ムーラン・ルージュ」は搾取に命がけで抗う者たちの群像劇であると痛感した
先月末、帝国劇場で『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』が開幕した。上演は8月末まで続く。つまり帝劇の夏はこれ一色である。 「東宝がガチで社運をかけた」と業界人が口をそろえて言うだけあって…
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「スマイルカンパニー契約解除の全真相」弁護士を通じて山下達郎・竹内まりや夫妻の“賛成事実”を確認
おだやかな時間をこよなく愛して生きてきた。そんな自分が、55歳にもなって週刊誌記者に初直撃されようとは。ちっともメロウじゃないなぁ。短い、でもそこそこ長い人生には、時として想像もつかぬ場面が待ってい…
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故・名プロデューサー佐藤剛さん 最後のサプライズと、ときに苛烈すぎる人生について
今週の日曜日(25日)、先ごろ71歳で逝去した佐藤剛さんの告別式が営まれた。凄腕の音楽プロデューサーであり、すぐれた作家でもあった。 大腸がんとの闘いは、相互フォローしていたツイッターで知っ…
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恋リア「ラブ トランジット」がめっぽう面白い パートナー像のあり方の未来図を見る
先週木曜からAmazonプライム・ビデオ(アマプラ)で配信が始まった恋愛リアリティショー(恋リア)の新番組『ラブ トランジット(ラブトラ)』が、めっぽう面白い。アマプラの恋リアといえば『バチェラー・…
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東京・新大久保「イスラム横丁」のネパール料理店でよみがえった、ざらり。
コリアンタウンのイメージが強い東京・新大久保に「イスラム横丁」と呼ばれるエリアが存在するのをご存じだろうか。さほど広くはない。せいぜい半径50メートルの半円に収まるはずだ。駅前の大通り(大久保通り)…
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不毛な世代間闘争、「世代」という名のカメラでは解像度が低すぎる
世代と価値観の話をしよう。今さら聞けない時代のキーワードの話を。 ゲンダイ読者に「Z世代(ジェネレーションZ)」という言葉はどれほど浸透しているだろうか。ウィキペディアによれば、アメリカ合衆…
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今年の暫定No.1邦画は「渇水」主演の生田斗真はジャニーズの宝である。だが…
日本共産党の志位和夫委員長が「アベノミクスの株高で一番儲けたのは、ユニクロ柳井会長一家」とツイートしたのは2013年5月。そのきっかり10年後の先月、柳井家の次男・柳井康治氏が初プロデュースしたヴィ…
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ありがとう週刊朝日! 101年の歴史の最後の最後に、読者から執筆者へ
1月末の本コラムで「さらば週刊朝日! 最終号まで買ってやるからな」と宣言して、はや4ヶ月。その日がやってくる。来週の5月30日発売号をもって『週刊朝日』が休刊するのだ。紙文化、いよいよもって死ぬがよ…
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寡黙を日本の伝統として褒めそやすのは、もう止めにしませんか。
最初に告白しよう。この件で本連載の貴重なスペースを費やすことを、ぼくは不本意だと感じている。正直なところ、この件についてはもう何も言いたくない、書きたくない気持ちが強い。実際そんな選択肢もあるはずな…
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「量」が絶対的担保として表現者の「質」の評価となった時代への挽歌
今年の大型連休は、友人を訪ねて旅に出た家族と離れてひとり東京に残った。作曲、番組収録、執筆といった仕事があったからだが、スケジュールは散発的でさほどタイトでもなかった。 40代はこういうとき…
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野木亜紀子と松岡茉優 二つの弩級の才能が起こす化学反応
今週末4月29日(土)19時からWOWOWで放送されるライブ特番『東方神起 LIVE TOUR2023 ~CLASSYC~』にぼくは出演する。メンバーふたりとの鼎談はすでに収録を終えており、今回は3…