「甘いお菓子は食べません」田中兆子氏

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■割り切った関係もアリ

 武子にセックス相手紹介所を教えてくれた親友、バツイチの香穂は広告代理店の営業部長。3編目「母にならなくてもいい」の主人公だ。会社では部下の失敗をフォローし、プライベートでは母が亡くなった後の父をケア。有能。紹介所の仲介によるS氏と割り切った関係にあった。

「香穂がセックス相手を必要としたのは、何年もセックスしていないと自覚した途端、女としての自信がぐらついたから。セックス相手紹介所はフィクションですが、あれば利用したい人も多いと思います。相手のS氏は、IT企業に勤める39歳のいい男(笑い)」
 S氏がアルコール依存症の妻を守る義務感を持つ素性が明らかにされる4編目「残欠」へと続き、一気に読ませる。ベッドシーンもたびたび登場。現代の40代女性の“心ばえ”をがっつり知れる連作だ。
(新潮社 1400円)

▽たなか・ちょうこ 1964年、富山県生まれ。短編「べしみ」で第10回「女による女のためのR―18文学賞」の大賞を受賞。同作品も本書に収録。東京都在住。

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