「パラソルでパラシュート」一穂ミチ著
「パラソルでパラシュート」一穂ミチ著
29歳の派遣社員・美雨は、取りえも野心もなく、次にどんな道に進めばいいのか分からない。ある日、コンサートに出かけた美雨は、アリーナの最前列なのに靴ずれが痛くて仕方ない。ステージ上のカメラマンのアシスタントと目が合うと、「ふんすい」と口の形で告げられる。
終演後にホールの前の噴水で待っていると、あの男が現れタクシーに乗せられる。着いたのは男が暮らすシェアハウスだった。男は美雨の足に赤チンを塗り、ばんそうこうを貼ってくれた。帰り際、男からお笑いライブのチケットを渡される。男は芸人の亨だと分かる。以来、美雨は亨が暮らすシェアハウスに通い、周囲の芸人たちと心を通わせるようになる。
つかみどころのない亨と美雨のちょっと変わった恋愛関係を描く長編。
(講談社 869円)