全聾もウソ NHKも心酔した佐村河内守の凄まじい演技力
別人に曲を書かせていたことがバレた自称作曲家の佐村河内守(50)。「全聾(ろう)の作曲家」としてメディアに登場し、CD「交響曲第1番HIROSHIMA」のセールスは18万枚を記録した。印税や著作権使用料を合わせると、稼ぎは約3000万円に上る。
それにしても、18年にわたって関係者を欺き続けたダマしの手口はすごい。中でもNHKスペシャル「魂の旋律―音を失った作曲家」を担当したディレクター古賀淳也氏は佐村河内に心酔し、番組制作に加えて「魂の旋律―佐村河内守」なる本まで出版している。
この本には、少女バイオリニストの大久保美来さんを訪ねるシーンについて、こんな一節がある。
<(佐村河内は)時折、ヴァイオリンのボディに手を当て、美来さんが奏でる音色を指先から感じ取り、きれいな音が出ていないことを指摘し……>
名演技を見せた上で、こんなやりとりが続く。
「美来、ヴァイオリンの音をどっちの耳で聞いているの?」
「左の耳」
「だめ。右の耳で聞かないと」