全聾もウソ NHKも心酔した佐村河内守の凄まじい演技力
佐村河内は、バイオリンに近い左ではなく、右の耳で聞くことで、音を客観的に知ることができるとアドバイスしたという。
これが事実なら“神の手”だが、週刊文春に告発したゴーストライターは「手話や読唇術を使ったふりをしていても、熱がこもってくると、普通の会話になる」と語っている。つまり、耳は聞こえていたのだろう。
■気性の激しいアーティストに成り切って…
一方、自宅での作曲風景の撮影シーンでは、<(周りの視線が気になって)音楽室での作曲を中断し、「落ち着かん」と言ってカメラを抑え、外に出て行ってしまいました>と取材班を威嚇してみせながら、その数日後、「お互いを、家族として考えるのはどうだろう?」と歩み寄る。
「家族と思えば、(お互いが)家の中にいるのは当然。話しかけたいときに話しかけ、近くにいてほしくないときに『あっちに行って』と言える」
いかにも“気性の激しい芸術家”らしい名ゼリフ。本は、こうした名演がズラリで、取材班がダマされるのは無理もないか。