タモリも「おそ松さん」も 脈々と受け継がれる赤塚イズム
歌謡界には往年のヒット曲を他の歌手が歌う「カバー曲」という手法がある。漫画の世界でも故・赤塚不二夫氏の往年のギャグ漫画「おそ松くん」をカバーして進化させた「おそ松さん」がテレ東でアニメ化、若い女性を中心に爆発的なヒット。グッズなど関連商品も売れているという。
昨年迎えた生誕80年。今年は「マンガをはみだした男・赤塚不二夫」として映画化される。主題歌を盟友・タモリが作詞、歌を披露する。時を超え、にわかに注目される人間・赤塚氏と作品の数々。私は赤塚ファミリーの1人としてよく飲み、語り、バカなことをした。
「くだらないことを一生懸命するから価値がある」「なにか面白いことをしよう」というのが赤塚氏の口癖だった。たわいもない大人のいたずら。例えば、全員、頭や腕に包帯をして知らないスナックに入り酒を飲む。店員は目を丸くして驚く。ただそれだけの遊びを真面目にやる。そんな遊びの中から赤塚氏のギャグは生まれた。晩年、あるプランを提案された。
「僕の集大成として、すべてのキャラクターを登場させて現代版『弥次喜多道中』をマンガにしてみたい。バカボンとおそ松を弥次喜多にして東海道を歩かせるわけ。道中にイヤミやチビ太が出てきたり、“ひみつのアッコちゃん”が横浜のキャバ嬢で出てきたりするの」