「信長協奏曲」大ヒット 続々公開“異色時代劇”の魅力とは
今年の映画界最初の驚きが「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」の大ヒットである。最終興収で45億円近くが見込まれる。これは2010年以降の時代劇としては「るろうに剣心 京都大火編」(52億2000万円)に次ぐ。
「信長協奏曲」だけではない。今年は時代劇の公開が続く。今後、阿部サダヲ主演の「殿、利息でござる!」(5月14日公開)、中村勘九郎主演の「真田十勇士」(9月)、佐々木蔵之介主演の「超高速!参勤交代 リターンズ」(秋)といった作品が並ぶ。
時代劇というと、どうしても重々しい正統派の作品を想像するが、最近はいささか様相が違っている。コミック原作だったり、派手な殺陣や権力抗争とは無縁の武士や庶民の生活を描く作品も出てきた。これらは比較的、歴女はじめ若者層に受け入れられやすい。
とくに後者の傾向で言えば、「武士の家計簿」(10年)や「超高速!参勤交代」(14年)のヒットを経て、「殿、利息――」と「超高速――」の続編が今年公開の運びになったと言える。
こうした傾向のひとりのキーパーソンが「武士の家計簿」と「殿、利息――」の原作者である歴史家の磯田道史氏だろう。磯田氏は生活者の視点を作品に取り入れる。それが硬質になりがちな時代劇の作風に風穴をあけたのである。