<第1回>落語家、俳優、コント芸人で悩んだ学生時代
春風亭昇太は売れっ子落語家で、人気番組「笑点」などテレビでお馴染みのタレントでもあるが、もう一つ俳優という顔も持っている。6月には3日から始まる新橋演舞場公演、三宅裕司座長の熱海五郎一座に座員として出演する。そこで昇太に芝居の魅力、独身主義を通すライフスタイル、師匠柳昇の思い出、50周年を迎えた「笑点」の裏話など、大いに語ってもらった。
まず、一人芸の落語家が大勢と一緒の演劇公演にたびたび参加するのはなぜかと尋ねた。
「実は大学生(東海大学)の頃、職業を選ぶについて3つの選択肢があったんです。落語家、俳優、コント芸人のどれかをやりたかった。当時のコント芸人はストリップ劇場に出ている人が多くて、とてもやっていけないなと。演劇は役者の数が多過ぎて、それも食えてる人が少ない。居酒屋のアルバイト店員の3割が劇団員といわれてましたから。その点、落語家は一生できる仕事だし、食いっぱぐれがなさそうで。それに落語家として売れれば、コントや芝居もできるだろうと考えたんです」
実際、子供の頃に見た映画やテレビドラマには柳家金語楼、桂小金治、春風亭柳朝などの落語家が出演していた。自分も将来そうなりたいと考えたのである。次にどの師匠に入門するかだが、これも3人の候補がいた。新作落語の革命を起こした「実験落語」の主催者・三遊亭円丈、爆笑落語で寄席の客席を沸かせる川柳川柳、テレビで顔を知られる春風亭柳昇。