リサーチしたところ、円丈には一番弟子のらん丈(現乱丈)が入門したばかりだった。川柳の場合、「あの師匠はそばじゃなくて離れたところで見た方がいい」と判断した。そして、「寄席で万人に受けていたし、自分に合っている師匠だと思って」と、柳昇の門を叩いたのである。
入門した昭和57年は柳昇が芸術祭賞を取り、テレビの演芸番組「花王名人劇場」で演じた新作落語が受けて再ブレークした年だ。「可愛いおじさん」と若い女性ファンが“柳昇ギャルズ”という後援会を結成する異常現象まで起こっていた。そんな師匠に師事し、昇八という前座名をもらった昇太は伸び伸びと育ったのである。
(聞き手・吉川潮)