攻めのEテレを象徴 「ねほりんぱほりん」のリアリティー
本当は聞いてみたいけどなかなか聞けない話を、本人や当事者に直接聞いちゃおうというのがEテレ「ねほりんぱほりん」(水曜23時)だ。それを可能にしているのが人形劇。ゲストはブタに、聞き手のYOU(52)と山里亮太(39)はモグラに変身している。
たとえば「元薬物中毒者」は、20歳で覚醒剤に手を出し、薬を打ちながら子育てをしてきた29歳の女性。「クラブに行けば簡単に手に入るんですよお」と語り、「吸引はどうやって?」と聞けば、「あぶりですね」とハキハキ答える。笑っちゃうほど赤裸々な告白だ。
先週の「痴漢冤罪経験者」の話もびっくりだった。登場したのは人のよさそうな(見た目はブタだけど)53歳の男性。通勤電車の中でいきなり、「こいつ、痴漢です!」と若い女性に騒がれ、「私じゃない!」と言い張るが警察署に連行されて3カ月も帰れなかった。
刑事からは「○ンタマ出したんだってな」と罵倒され、犯人扱い。結局、2年の歳月と600万円を裁判に費やした。その間に職を失い、家庭も限界状態に。無罪にはなったが人生は元に戻らない。いやあ、これはシンドイ。当事者自身が語るからこそのリアリティーだった。
この夏、障害者をダシにして感動を生み出そうとするテレビを「感動ポルノ」と呼び、違和感を表明した「バリバラ」と並んで、“攻めのEテレ”を象徴する1本だ。