元「H2O」中沢けんじさん “熊本地震”被災の夜を振り返る
「コンパクトカーですから、持てる物なんて知れてます。それでも仕事に差し支えないよう、ヤイリのクラシックギターとエピフォンのアコースティックギター、それにミニアンプだけは持ちました。不思議なもので、もっと高価なギターがあるのに、いざ持ち出すとなると使い勝手のいいモノを選ぶんですね」
いつもなら九州自動車道を使い1時間半ほどだが、崩落箇所があって一般道を迂回せざるを得ず、8時間もかかった。
「それから丸2週間、居候させていただきました。その間、地元のRKKラジオで月曜19時から生放送のレギュラー音楽番組『中沢けんじとすみママの想い出がいっぱい』は電話出演。非常時だということを改めて実感したものです」
避難先から帰宅しても震度4、5クラスの地震は頻発し、見慣れた街並みや景色も地震前とは大きく変わった。
「帰宅したものの、ストレスが蓄積されていたんでしょうね。動悸が止まらないと思って診察してもらったら、逆流性食道炎でした。地震後に患者が増えるそうです」
水や食べ物の心配がなく自室でゆっくり眠る、という当たり前のことが、たった一度の自然災害でもろくも崩れることを肌身で感じた。