NHK「荒神」の内田有紀に拍手 業を背負った女の悲しさ
先週末、BSプレミアムで「荒神」が放送された。原作は宮部みゆきの同名小説。舞台は元禄時代、東北地方の山村だ。
永津野藩の重臣、曽谷弾正(平岳大)は隣接する香山藩へ残忍な攻撃を続けていた。妹の朱音(内田有紀)は兄に反発し、家を出て村で暮らしている。ある日、怪物に襲われたという少年を旅の浪人(平岡祐太)が助け、村に運び込んでくる。
まず、CGで作られた怪物が見事な出来栄えだ。村を破壊し、無慈悲に人を食べ、踏み潰していくさまは結構怖い。正面から見たギョロ目の顔が、映画「シン・ゴジラ」の第2形態、通称・蒲田くんに似ているのはご愛嬌だ。
ただし、このドラマの見どころはCGだけではない。ヒロインである朱音の可憐さ、りりしさ、そして業を背負った女の悲しさを表現した内田に拍手だ。特に怪物と向き合うラストシーンでの立ち姿と表情は絶品だった。
過去には「北の国から2002遺言」の高村結、近年は「ドクターX~外科医・大門未知子~」の麻酔科医、城之内博美というハマリ役を持つ内田。今後は、一昨年の「ナオミとカナコ」(フジテレビ系)のような中途半端な形ではなく、この「荒神」に負けない主演作に挑戦してほしい。
ドラマ全体としては、原作で描かれていた、敵対する両藩がそれぞれに抱える事情や因縁などを、もう少し丁寧に見せてくれると、ありがたかった。