ヤクザ渡世の森友疑惑 裏切りと見所満載「アウトレイジ」
人気シリーズの第1作。来週24日「アウトレイジ 最終章」のBD&DVDが発売される。本作と2作目の「アウトレイジ ビヨンド」を見ておけば「最終章」はさらに面白い。
関東の広域暴力団「山王会」で末端組織を率いる大友(ビートたけし)は古参組長の池元(國村隼)から、村瀬組を締め上げるよう命じられる。池元は山王会本家若頭の加藤(三浦友和)が自分と村瀬の蜜月を不快に思っているため、形ばかりの仲たがいを装いたいというのだ。
大友は子分を使って村瀬組のボッタクリバーに引っかかり、ゴタゴタを起こす。ところがこの部下が村瀬組に殺されて抗争に発展。子分が次々と殺されるのだった……。
まさに裏切りの連続。そのため“21世紀版の仁義なき戦い”と評されるが、北野武監督らしく、いくつかの要素を複合させて物語に広がりを持たせている。大使館員を脅しての裏カジノや覚醒剤の密売、警官の汚職など。これに適度な笑いを加味して北野監督特有の「滅びの美学」になだれ込んでいく。
大友は仲間を殺されても涙を流さず、「おまえ、これ持って逃げろ」と子分に拳銃を渡す。この淡々とした演技が観客の胸にヤクザの悲哀を喚起するのだ。