水道橋博士<後編>硬派からバカまで…“師匠”譲りの振り幅
ただ、長年付き合っていて思うのは「大人の流儀」も十分心得ている常識人であることだ。たけしさん絡みの案件でトラブルになりそうだった時には博士は手を差し伸べてくれ、こちらが礼を言うと何事もなかったように飄々としている。文章も書く、コントも、コメンテーター、ネットもやる。要するに自らやりたければ何でもやる。
中でも私が尊敬するのは「プロデューサー」としての活動だ。今やトップクラスの映画評論家になった町山智浩にMXテレビで番組を持たせたり、若手のてれびのスキマ(戸部田誠)氏に本を書かせる下地を忍耐強くつくったり。その他、例を挙げたらキリがない。
たけしさん独立について触れるために博士に確認すると「4月25日発売の週刊文春を」とメッセージが。「拝啓 週刊新潮様」と題する原稿には、「あの日、軍団は会合の前に集まり、恫喝的な物言いにならないように言葉遣いを確認し合っていた。それがまさか、隠し録りの音声を恣意的に利用され、印象報道に用いられることになるとは」と記している。
当事者でありながらも文章は客観的。意見も至極中立だと思う。たけしさんの新会社「T.Nゴン」の方とはお会いしたことはないが、愛人の言いなりと揶揄されたK氏とは仕事をさせていただいていたが、しっかりとビジネスが出来る方である。これも“愛人にたけしが振り回されている”という印象操作であると思うし、新会社になってからたけしさんと仕事をしているテレビ局の現場からも特にトラブルについては耳に入っていない。
ひょっとして今回の「ビートたけし独立」も博士のシナリオによる“プロデュース作品”だったりして……。あ、これは冗談であります。