徹子に理解されずとも…やり続けて作り上げた友近の世界観
友近の笑いの世界は、なかなか伝わるまでに時間がかかる。なぜなら、ツッコミが不在だからだ。普通なら、何かになりきったら、それに対し何らかのツッコミが入る。だが、友近のコントの中では、五木のように共演者たちが乗っかることで、その世界を強化していく。つまりはボケっぱなし。
しかも、そのボケも明確なギャグではなく、ただひたすら「居そうな人になりきる」というものだから、共通認識がなければ、笑いどころが分からないということになってしまう。
実際、デビュー当初はなかなか理解されなかったという。当時、テレビでやっていたようなポップなコントには笑うが、友近が本来やりたいネタになると、客がぼうぜんとすることが、7~8年続いたという。
理解されないという意味での極め付きは、水谷千重子として「徹子の部屋」(テレビ朝日)に出演した時(16年1月18日)だ。いつもの調子で質問に答えていると、黒柳徹子が「面白くない話を続けても視聴者の方に申し訳ないんで」と一蹴したのだ。
思えば彼女が全国的にブレークしたのも、なだぎ武と組んだキャラ「ディラン&キャサリン」だった。しつこく「西尾一男」になりきり続けてもいた。一貫して彼女はたとえ伝わりにくくても、自分が面白いと思ったものをやり続けている。