「寝ても覚めても」で開花 東出昌大は“杏の夫”の肩書返上
「役者」の東出昌大(30)がひと皮むけたと評判だ。1日に公開された主演映画「寝ても覚めても」(濱口竜介監督)がそれ。公開前から「年末以降の賞レースに絡んでくる有力候補の一本」(映画関係者)と評価は上々で、「万引き家族」同様、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門出品作でもある。
唐田えりか(20)演じる若い女性が体験する摩訶不思議な恋愛物語。容姿はうりふたつだが性格は正反対の男の間で揺れる8年を描くが、キーマンの男を演じる東出の好演が光っているのだ。
英ガーディアン紙にも「素晴らしい」と評価された一人二役。原作は容姿も似つかない別人で、ヒロインの女性だけが似ていると“錯覚”している設定だけにより難しい演技が求められる。しかし、スクリーンに映し出される姿に気負いは感じられない。ごくごく自然体なのが印象的だ。
2012年公開の映画「桐島、部活やめるってよ」で役者デビューして6年。ある雑誌のインタビューで、本作の撮影前に行ったワークショップで濱口監督の演技指導を受け、6年間でたまった澱が取れたなどと語っていた。本作の撮影は17年夏。その後、フジテレビ系ドラマ「コンフィデンスマンJP」にも出演し、役者としての株を大いに上げている。2日放送の「ボクらの時代」(フジテレビ系)では「いまも『役者です』と胸を張って言えるかといえば、気後れする」と赤裸々に心境を語っていた東出。コラムニストの桧山珠美氏は、「“苦労して考えたい人”がようやく花開いた感じ」とこう評価する。