所ジョージ編<後編>正反対の明石家さんまとのアンパン事件
私が見る限り、さんまさんが心底楽しそうな顔をしているのは所さんと共演している時だ。所さんは、いつも本番1時間前に来て、収録後はまっすぐ自宅に帰り、外食はほとんどしない。私も付き合いは30年になるが、外食は2回しかご一緒したことがない。というのも、奥さんの手料理は、私もさんまさんのオーストラリアの別荘でご相伴にあずかったことがあるのだが、腕前はプロ以上、とにかくおいしいのだ。逆に“寂しがり屋”の明石家さんまさんは「恋のから騒ぎ」の収録後は必ず、隔週で17年もの間、スタッフを西麻布の高級焼き肉へ自腹で連れて行ってくれた。まさに対照的な2人である。
私が制作した番組で1992年に始めた「さんま・所のオシャベリの殿堂」という特番があるのだが、特番にもかかわらず26回も続いた。理由は、所さんはミュージシャン畑、さんまさんは芸人で、互いの領域に侵食しなかったのが良かったのだと思う。以前、さんまさんの番組に、松本人志さんや故・やしきたかじんさんが出演されたとき、本番が終わると緊張が解けたのか汗びっしょりでスタジオから出て行くのを見たことがある。一方、所さんはケロッとしている。“当意即妙な笑い”のさんまさんと“発想やセンスでうならせる”所さんの芸風の違いなのだろう。