大作2本で総制作費15億の大枚をはたいてくれる投資家は…
小生にも映画への果てしない夢がある。今年はいろんな夢をかなえてみたくなった。幸か不幸か、テレビ番組のレギュラー出演もないし、体が軽くなって動きやすくなったし、テレビで正義面してコメントする人間には自分はどうも向いてないようにも思ったし、年末、インドシナのメコン川の辺りまで映画ロケに行ってきて、貧しくてゴミ漁りをしながらも、群れ戯れる元気なアジアの子供らを見たら、俄然、こっちも映画という虚業をしっかりとやりたくなった。
年を越えて取りかかってきた、日本人が敗戦から欲望の資本主義の下、一目散に駆け抜けた昭和を振り返る映画はただ今絶賛仕上げ中だが、これまた、1カットごとに平成の現代風景をCGを使って塗り潰していかなければならなくて手を焼いている。写っている画面のすべてを昭和に塗り替えるにはとても面倒な手作業とお金がかかる。まあ手弁当で作り上げるのは慣れたことだが、映画の製作費はいくらあっても足りないものだ。
そして、今年中に取り組みたい企画がもうひとつある。5年前から構想してきたこれまた敗戦直後の東京に生きる“戦争孤児たちの冒険物語”だ。原作は(バラしてしまうと)井上ひさしの入魂の一作、「下駄の上の卵」という長編だ。登場人物は、着てるのか裸なのか分からないほどのボロ服の垢とシラミまみれの13、14歳の子供たち(というか、餓鬼と呼んだ方がいい)が、なんと100人以上も出てくる。