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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

映画屋は知っている “一服休憩”は生産性も芸術性も高める

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映画なんか撮ってると、ワンカットが終わるごとにたばこを吸いたくなりません?」とよく聞かれる。そら吸いたいさ。そんな時は助監督が横で一服つけるのを見るや、2本指を差し出し、ほんの一服だけ先にもらった。役者のせりふ回しがわざとらしかったり、カメラアングルが決まらなかったり、撮影中のイライラを吹っ飛ばしてくれるのは一服しかない。

 でも、「ちょっと一服できる」あの檻のような喫煙所さえ、職場から消え始めているという。社員がその檻にたばこ休憩をしに行くだけで仕事の生産性が減ると、アメリカのどこかのバカな研究所が言いだしたのだ。社員1人がたばこ休憩を取ると、年間で4500ドル(50万円)ほど、会社の損失が出るのだとか。50万円はウソだろ。たばこを吸わないで職場に何の楽しみがあるんだ。それだけで仕事に差し障るぞ。

 狭苦しい檻の中でもたばこを吸い、集まった仲間で「ゆうべ、飲み屋で、あの部長が女から別れ話を出されたって言いだしてよ」とワイワイ話してから営業回りに出かけた方が仕事が弾むというもんだ。映画現場なら、生産性どころか、芸術性までガタ減りして「たばこ吸わさんと次のカット準備しないぞ」とストライキが起こるだろう。クソな調査研究をするご時世になったもんだ。

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