社会不信の塊だった堀潤さんがNHKに入局した深い理由は…
精神科医の名越康文さんがゲストの“知られざる一面”に迫ります。第2回はジャーナリストの堀潤さん。NHKを退局しフリーランスでの活動も6年を迎えたいま、メディアへの熱い思いが明かされます。
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名越 2013年にNHKを退局されるまでの12年を改めて振り返ると、どんなお気持ちですか。
堀 平成不況のど真ん中で社会人になったので、社会に対して期待や希望を持てませんでした。見上げる空の色はグレー。自分の存在を確認したくてNHKへ入りましたが、簡単ではありませんでしたね。
名越 一朝一夕ではいかない話ですね。
堀 既存のやり方を続けていればテレビは生き残れない。それどころか視聴者の信頼も得られなくなると考え、開かれた報道の在り方を模索していました。でも、東日本大震災や原発の事故が起こると状況は一変しましたね。
名越 危機的状況は閉塞感を生み、守りの姿勢になる。トランプ現象や英国のEU脱退もそうですが、目まぐるしく情報が錯綜する中で一体、何を信じたらいいのかが分かりづらい。