ニュースの“必需品”視聴者の投稿映像はなぜ謝礼ゼロなのか
常磐自動車道のあおり運転・殴打で逮捕された宮崎文夫容疑者と連れの喜本奈津子容疑者には、ドライブレコーダーに残された凶暴さ、「きもとさ~ん」と叫ぶ逮捕時の奇行と2度呆れさせられたが、いずれも被害者やたまたま目撃した視聴者の提供映像だった。
台風、地震、水害などでも、住人がマンションの部屋やクルマなどから撮影した映像が次々と流れる。手ブレがひどかったり、肝心なところが写っていなかったりするのだが、とにかく目の前に同時進行の「現場」があるから、臨場感はテレビ局のカメラマンもかなわない。犯罪でも、犯行前後の様子がすぐ放送される。
こうした映像を、テレビ局はどうやって入手しているのだろう。「スクープBOX」(NHK)、「みんながカメラマン」(テレビ朝日)といった投稿サイトはあるが、おいしい映像はそう送られてくるものではない。そこで、アシスタントディレクターやリサーチ記者が、四六時中ネットを検索することになる。そして、使えそうな映像を見つけると、投稿者に直ちにメールして、使用許可を得るのだ。
では、映像が使われると、どのくらいの報酬があるのだろう。それで番組の視聴率が上がり、広告収入も増えるのだから、相応の謝礼がありそうだが、原則としてゼロだという。どんなスクープ映像でも、「ありがとうございました。助かりました」のお礼だけ。たまに、局のロゴが入ったクリアファイルが送られてくるぐらいだという。投稿サイトの規約には、映像使用は「無償で許諾したものとみなします」とわざわざ明記されている。