「レニ」ヒトラーに協力した女が見せる恥知らずの抗弁
1993年 レイ・ミュラー監督
ナチスの宣伝映画を監督したレニ・リーフェンシュタールの半生を追い、晩年の彼女に密着したドキュメンタリー。11月6日、BDとDVDが発売される。
レニは1902年生まれ。山岳映画で人気を馳せた美人女優だったが、ヒトラーと出会って監督業に転じた。
本作は女優時代と監督時代、戦後のカメラマン時代の3部構成。もちろん重要なのは監督時代だ。
レニはナチの映画を3本撮った。このうちナチ党大会を記録した「意志の勝利」は現在もドイツでは上映禁止。授業などで青少年に観賞させるときは事前に入念な説明をしなければならない。35年に公開されるや大ヒットし、ヒトラーのカリスマ性とナチ党の人気を爆発的に高めたからだ。
レニはベルリン五輪の記録映画「オリンピア」(38年)の監督も務め、この作品は今も五輪映画の最高峰とされている。ナチの国際宣伝に貢献したことは言うまでもない。
本作のレニは「意志の勝利」の完成度を誇りながらも、R・ミュラー監督の鋭い指摘を受けるや穏やかな顔が一変、声を荒らげて反論する。ヒトラー、ゲッベルスらとの関係をあぶり出し、レニの虚構性に迫るのが本作の見どころだ。