「ニッポン無責任時代」ヘラヘラ笑う異端児に憧れた時代
1962年 古澤憲吾監督
クレージーキャッツのヒットシリーズの第1作。60歳以上の人なら2、3回は見たことがあるだろう。
植木等が演じる失業中の男・平均(たいらひとし)は夜のバーで太平洋酒という企業が乗っ取りの危機だと知る。翌日、政界の大物の弟子を装って同社の氏家社長(ハナ肇)に接近し、総務部に採用される。任務は大株主の富山(松村達雄)を、株を売らないよう説得することだ。平は交渉に成功するが、富山が乗っ取りの実行役の黒田(田崎潤)に寝返って株を譲渡したため、あえなくクビに。そこで平は昨日まで敵だった黒田に取り込み、黒田が経営権を握った太平洋酒に渉外部長として返り咲くのだった。
競馬の失敗で無職になった男が鮮やかな弁舌であれよあれよと出世する話。クビになっても復活し、ホステスやOLにモテモテ。「ボクが嫌いなのは人頼みとお節介女さ」と彼女たちの誘惑を振り切り、頼まれてもいないのに社長の座を追われた氏家をカムバックさせるべく詐欺まがいの裏工作を敢行する。お色気作戦で石狩社長(由利徹)をたぶらかすあたりがいかにもクレージー映画らしい。