何がグルメの権威だ 人の好みに星をつけて比べるのはバカ
“3つ星の和食屋に行きましょか”と気を使われて断ったことがあった。「そんなもんは猫に小判で豚に真珠やろし、猫にはかつお節やで。うまい自然薯でこねたお好み焼き屋が安うていっちゃんうまいで」と商店街のはずれの店に逆に誘ってやった。ちなみに、東京でミシュラン星付きの関西風お好み焼き屋はない。味の覆面調査員なんぞはお好み焼きなど生まれてこの方、食ったためしもないだろうし、コテの使い方など知るはずないのだ。
先月末、飲食所やホテルを格付けする「ミシュランガイド東京2020」が発表された。東京で星付きの店は200店以上で世界最多だと大層たらしくもったいぶっていた。そのガイドはフランスで自動車旅行が盛んになった90年前、タイヤメーカーの会社がわざわざ車で旅してでも食いに行く値打ちがある店が星3つで、遠回りしてでも食いに走るのが2つとか、勝手に店の味や料理の仕方、食い方の評価をしたのが始まりだという。“うちのタイヤをはいて食いに行こう”というタイヤの宣伝道具だったのだ。