「仁義なき戦い」で眉を剃り落としたら迫力は出たけれど…
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東映の傑作というより日本映画が誇る傑作と言っていいのが1973年に公開された「仁義なき戦い」だった。俺自身、第1作の脚本を読んだときに「これはいける」という手応えがあった。何しろ物語のベースになっているのは戦後の広島で現実に起きた抗争事件だし、登場人物全員に実在のモデルがいる。そのリアルさはそれまでの任侠映画にはないものだった。
今だから言えるけど、当時の京都撮影所にはモデルとなった本人やその親戚や関係者なんかが、よく来てたよ。彼らも自分たちの世界がどう描かれるか気になったというわけさ(笑い)。
「あんまりカッコ良く描くなよな」
「俺の叔父貴は、あんなことは言わなかった」
そんな感じで、こっちが聞かなくても、いろいろアドバイスしてくれた。
もちろん、それをすべてうのみにして演技をしたわけじゃないけどね。一番大事なのは自分がシナリオを読んで受けたイメージ。これをベースに演じたし、それに対して深作欣二監督も何も言わなかった。