著者のコラム一覧
井上トシユキITジャーナリスト

1964年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業後、会社員を経て、98年からジャーナリスト、ライター。IT、ネット、投資、科学技術、芸能など幅広い分野で各種メディアへの寄稿、出演多数。

岡村隆史の失言問題 ラジオも掲示板も言論解放区ではない

公開日: 更新日:

 とはいえ、深夜ラジオだからという意見にくむべきものがないわけではない。ラジオには、他のメディアと比較して「言論解放区」のような雰囲気が残っている。マニアックな話や内輪話、下ネタに対する許容度も、他に比べればまだまだ高い。

 ラジオはネットの掲示板サイトやSNSに通じる部分がある。そもそも、ファンや興味がある者しか個別の掲示板の閲覧や投稿者のフォローをしないように、ラジオも、もともと番組別に興味がある者や担当者のファンしか聴きに来ない。

 ラジオもネットの掲示板やSNSも、あらかじめ選択のふるいにかけられるのが、基本的な利用のされ方なのである。したがって、しゃべり手や書き手と、聴く側や読む側の距離感が近く、ストレートな物言いになりがちだ。

 つまり、ラジオやネット掲示板、SNSは元来、言いたいことを、言いたいように言うためのサロン的な存在だったのだ。

 しかし、ユーザーやリスナーが増えれば、おのずと社会性を帯びる。「内輪のいつものメンバー」だけであれば共通認識があるから問題とはならないか、いさめられて終わっていたことが、社会常識や倫理観に基づいて断罪されたり、おかしいと指弾されるケースも出てくる。

 実際、掲示板サイトやSNSは、犯罪抑止、リアル社会との軋轢回避からルールを厳しくしたり、監視を強めてきた。ラジオとて一般的な常識を激しく逸脱することはあり得ない。(つづく)

【連載】2020年上半期ネット炎上事件簿

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇