「愛の不時着」現象が終わらない訳…北は韓国の“エンタメ”
北朝鮮の軍人と韓国の財閥令嬢の恋愛を描いた韓国ドラマ「愛の不時着」は一向に人気が衰える気配がない。物語の舞台こそ北朝鮮だが、「愛の不時着」は王道のラブストーリー。新しい“北朝鮮観”に新鮮さを感じる人も多そうだ。
「今年で朝鮮戦争勃発から70年。昔は敵対国で、悪いイメージばかりでしたが、時代とともに、北朝鮮のイメージは柔らかくなりました。その背景には、脱北者が増加し、北朝鮮の内部が明らかになってきたからだと思われます」(韓国芸能ライター・松庭直氏)
韓国人にとって、敵対する北朝鮮の立ち位置は歴史とともに変化してきた。
休戦後、韓国では北朝鮮を題材にした作品がいくつも作られたが、あくまで北朝鮮は敵対国として描かれてきた。軍事政権時代の韓国は検閲が厳しく、たとえ芸術作品だとしても北朝鮮を敵対国以外として描くことは難しかったようだ。しかし、時代は変わった。
1990年代に入ると時の大統領である金大中が規制を緩和し、比較的自由に映画やドラマが制作できるようになる。その時代に生まれたのが、当時、歴代最高の観客動員数を樹立した映画「シュリ」だ。