「星をかすめる風」韓国の国民的詩人をめぐるミステリー
原作はイ・ジョンミョンの同名長編小説。「空と風と星の詩人」と呼ばれ、日本でも多くのファンを魅了する韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)の最期の日々をモチーフにしている。
尹東柱は戦時中に治安維持法違反容疑で逮捕され、祖国が解放される半年前の1945年2月16日に収監先の福岡刑務所で獄死した。死因は不明とされる。そのことからある不穏な風説も流れた。
物語は尹の収監されている福岡刑務所。ある夜、一人の看守が何者かによって殺害される。彼の名前は杉山(北直樹)。ポケットにはわら半紙に書かれた一編の詩が入っていた。
外部に事件が漏れることを恐れた所長(葛西和雄)の命令で、若く正義感の強い看守・渡辺(沼田朋樹)が犯人の探索にあたることになる。
朝鮮人囚人・崔(島本真治)から蛇蝎のごとく嫌われ、死神とあだ名された杉山。だが、診療棟の看護婦(傍島ひとみ)は彼を詩を好む優しい人だったと証言する。
一方、囚人の中にかたくなに日本の通名で呼ばれることを拒む朝鮮人がいた。尹東柱だ。