二兎社「私たちは何も知らない」時代に抗した女性群像劇
「ザ・空気」(2017年)で報道現場の萎縮・忖度・自己規制という日本社会を覆う“空気”の正体に迫り、第2弾「ザ・空気2 誰も書いてはならぬ」(18年)では記者クラブ制度の弊害を描くなど、マスコミのタブーに迫った永井愛(作・演出)。今回の舞台は明治・大正時代に婦人解放運動に大きな足跡を残した雑誌「青鞜」編集部の青春群像。
「青鞜」は当時25歳の平塚らいてうが中心となって創刊した女流文芸誌。らいてう(朝倉あき)は、「元始、女性は太陽であった」の創刊の辞で有名。聡明な彼女に魅せられて保持研(富山えり子)、尾竹紅吉(夏子)、伊藤野枝(藤野涼子)、岩野清(大西礼芳)、山田わか(枝元萌)らが編集部に加わる。
らいてうとの同性愛をウワサされた奔放な紅吉は、バーでの飲酒事件、吉原遊郭の見学事件などを起こし、世間の指弾を浴びる。
紅吉が去り、らいてうは年下の愛人男を指す“若いツバメ”の語源となった奥村博(須藤蓮)との愛に傾く。
混迷を極める編集部で頭角を現したのは伊藤野枝。しかし、彼女もまた、夫・辻潤を捨て、アナキスト大杉栄に走る……。