「闇の将軍シリーズ」主人公は角栄、安倍・菅政治を批判
しかし、角栄は長岡鉄道の電化で世話になった佐藤栄作を裏切れず栄作の派閥「木曜研究会」に入ってしまう。それが奏功し7月の第1次岸信介改造内閣で郵政大臣に就任することになるのだ。舞台は、その間の政治家たちの派閥の駆け引きを描きつつ、彼らの素顔に迫っていく。
軍拡より高度経済成長を唱える池田勇人、ひたすら軍国主義復活を狙う岸信介、兄である岸の後釜を虎視眈々と狙う佐藤栄作、東大卒のエリート官僚・福田赳夫。彼らの暗闘や愛人との房事などが実に巧みにエネルギッシュに描かれている。
かつての自民党の安定は派閥の均衡によるものだということがよくわかる。
「派閥がなくなったらヒトラー政権と同じになってしまう」というセリフがあるが、権力を集中させた安倍政権、それを継承する菅内閣にそっくり当てはまる。
第2作「宵闇、街に登る」は総理大臣に就任するまでを。今回初演の第3作「常闇、世を照らす」は「目白の闇将軍」として政界を裏で操っていた時代を描く。
痛快な角栄物語でありながら、今の不毛な政治への鋭い批判となっている。