菅官邸のワイドショー監視リスト公開 黒塗りなしが不気味
まあ、菅CIAがやっていないはずはないのだが、ここまで陰湿に、人と手間とカネをかけていたとは驚きである。
「しんぶん赤旗」と「週刊ポスト」が伝えているのだけれど、首相官邸は毎日のワイドショーや報道・情報番組を監視して、キャスターやコメンテーターらの発言を細かくチェックしているという。
公開された「報道番組の概要」などの文書を見ると、番組進行とそれぞれのコーナーや話題の見出しが分刻みで記録され、特定の出演者の発言がほぼすべて採録されている。作成しているのは内閣広報室、担当者の名前もある。
対象とされたのは、平日は、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)、「スッキリ」(日本テレビ系)、「とくダネ!」(フジテレビ系)、「ひるおび!」(TBS系)、「ミヤネ屋」(読売テレビ・日テレ系)、「報道ステーション」(テレ朝系)、「NEWS23」(TBS系)の7番組。土日は、「サンデーモーニング」(TBS系)、「サンデーステーション」(テレ朝系)、「ウェークアップ!ぷらす」(読テレ・日テレ系)、「日曜討論」(NHK)の4番組だ。
「一目でわかるのは、首相や政府に批判的な出演者が多い番組ということです(日曜討論も全野党幹部が出演する)。朝ワイドでも『グッとラック!』は、情報番組というよりバラエティーだし、視聴率も超低迷で取るに足らないと思われているのか、無視されているのは笑っちゃいますけどね」(テレビウオッチャー)
「モーニングショー」は目の敵に…
目の敵にされているのは「モーニングショー」だ。同じレギュラーでも、長嶋一茂や石原良純はスルーだが、社員コメンテーターの玉川徹、ジャーナリストの青木理の発言は細大漏らさず報告されている。「報ステ」は番組そのものが“反権力スタンス”なのが気に入らないのだろうし、「23」はアンカーの星浩、「サンモニ」は司会の関口宏のリベラルさが要注意というわけだ。
政府の新型コロナウイルス対策の遅れに注文を付けていた白鴎大の岡田晴恵教授もチェック対象にするなど、実に執念深い。
この報告はどこに上げられるのか。
「官房長官でしょうね。もちろん、聞きっぱなしということはありませんよ。テレビ局の経営トップとの会食などのときに、『あの番組はどうなってんの?』と嫌みっぽく言って、牽制するのでしょう。局側はそれを忖度して、キャスターやコメンテーターを入れ替えるんです」(前出のテレビウオッチャー)
テレ朝系の「サンデーステーション」が調査対象になっていて、この秋で長野智子がキャスターを降板したのも、裏にそんな事情があったのかもしれない。長野は古舘プロジェクト所属で、厳しいコメントをする。
なんでも隠したがる首相官邸が、情報開示請求があったとはいえ、番組名を黒塗りにもせず公開しているのが気にかかる。「この番組から目を離さないからな」という脅しなのか。
(コラムニスト・海原かみな)