石井杏奈は清涼感あるビジュアルながら難役をこなす技巧派
清涼感のある美形のビジュアルでありながら、クセのある役を演じることが多い。
演技力があるので、難しい役を彼女に演じさせたくなるのだろう。新木優子・西野七瀬・清原果耶が水彩画で描いたような透明感を秘めた女優だとすれば、石井杏奈は油絵で描いたような、「渇いた演技」を見せる。同じように渇いた演技を見せる女優としては、門脇麦・伊藤沙莉・小松菜奈・杉咲花が挙げられる。
クールな役を演じているときの大人っぽいイメージとは違って、素顔の彼女はあどけなさが残っていて、10代のころから年齢よりも若く見えた。だからこそ、22歳になった今、「記憶の技法」で17歳の役を演じても自然と高校生に見える。
彼女がリアル10代だったころにインタビューしたときには、「ちょっと、せっかちな性格かも。小さい子の面倒を見るのが好きです」(雑誌「girls!」36号)と、はにかみながら語っていたことが印象に残っている。
クセのある役を演じるのがうまい女優だが、彼女自身は、笑顔が魅力的で、クセがない素直な女性。そのギャップが石井杏奈の魅力だ。これからも、記憶に残る女優として、彼女にしか出せない味わいのある演技を見せてくれるだろう。
(つづく)