著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

新宿梁山泊「唐版・犬狼都市」鮮烈なラストシーンに震撼

公開日: 更新日:

 犬の王国、水中花、地下迷宮、オルゴール箱……意匠を凝らした絢爛たる唐十郎の劇世界が全面展開。しかし、その帰着点はシュールな妄想の闇にまぎれていく。理にかなう物語ではなく、一編の壮大な詩だと思って楽しむべき舞台だ。

 冒頭の奥山の神々しいまでの身体パフォーマンスが圧巻。一転してテントの裾が跳ね上がり、借景のかなたから走り込んでくる役者たち。この数分間の幻想美で観客を異世界に引きずり込む金守珍の演出の手腕が冴えた。3幕2時間30分だが、スペクタクル性とクライマックスのカタルシス(浄化)はテント芝居の醍醐味。

 今回初出演の宮原、オレノグラフィティが色香ある演技で大健闘。凄艶なヒロインの水嶋、駅員を好演した松田ほか、役者たちが唐戯曲のパズルのピースとしてそれぞれピタリとはまった。鮮烈なラストシーンは演劇界の語り草になるに違いない。22日まで。

 ★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動